顔合わせ

 稽古場に一番乗りして机や椅子の準備をしていると、二番目にやって来た馬渕英里何さんがさり気無く手伝ってくれました。ひっそりとした地下の稽古場で、馬渕英里何さんと二人、ガチャガチャと音させて椅子運びです。美人が労働。ドキドキしちゃいました。

 その後、時と共に役者や関係者がぞくぞくと集まってきました。「ご挨拶遅れまして(名刺交換)」といった社交に慣れた挨拶がそこここで交わされ、稽古場に薄い緊張が漂う中で読み合わせが始まりました。本谷有希子は利き手の左手を終始動かしています。肘から先を45度の角度で振っているのです。どうやらセリフのタイミングと連動しているようです。しかし、ペンを握っているのでたまに刺さるんです、左隣の私に。この人と食事に行くと箸も刺してきます。

 読み合わせ後、台本の説明を軽く行いました。キーワードは「暗い」です。