終演

 遅ればせながら、たくさんのご来場ありがとうございました。無事公演を終えることが出来ました。
 楽日の打ち上げで「もう少し神経の太い人間になりたいわ」と弱音を吐いてみた私に、本谷有希子が「十分図太いよ」と返してきたのがちょっとショックでした。
 打ち上げ後の早朝にぼんやりした顔でお別れした後、役者もスタッフもすでにそれぞれ方々で活躍してます。本谷有希子の今後の活躍もぜひチェックして見守っていってください。
 劇団、本谷有希子の次回公演は12月上旬に吉祥時シアターで行います。また一味違う作品をお見せできるかと思います。今後とも、よろしくお願いします。

中日

 初日明けたと思ったらあっという間に中日です。毎公演たくさんのお客様に見ていただけて幸せです。
 ところで劇場に入ってからの本谷有希子は、舞台上で飲み物飲んだり衣装の近くでスパゲッティーすすったり女優陣の鏡前に食べ残しを散らかしたりして、いろんな人から「ちょっと!」と目くじら立てられてます。
 そんなだから今日、女優の吉本さんの台本にコーヒーがこぼされてるのが発見されるやいなや犯人は本谷有希子だということになってました。本谷さん、コーヒー飲まない人なのに。
 ちょっとかわいそうでした。

仕込み二日目

 本谷有希子のお弁当の食べ方を見て、舞台監督の宇野さんが「悪食」と呼んでいました。本谷さんはそんな呼ばれ方は当然嫌らしく、「せめて乞食にしてくれ」と必死に頼んでいました。
 私には、あだ名としての「悪食」と「乞食」の良し悪しの差が分かりかねます。
 

仕込み一日目

 劇場仕込みは舞台監督の宇野さんをはじめスタッフさんにお任せして、軽い稽古を別場所で行いました。夕方から本谷有希子と私は劇場に入り、舞台美術を拝見しました。
 数週間前の美術打ち合わせで本谷有希子が美術家の中根さんに、「万博みたいにはしないでください」と、とてもおおまかな要望をしていたのを思い出しました。
 出来上がった美術にはもちろん万博的要素は無く、具象過ぎず抽象過ぎず素敵です。

本番間近

 日記は滞ってしまいましたが、もちろん日々稽古は進んでいます。最近は毎日通し稽古をして、微妙な調整をしつつ芝居を固めていってます。本谷有希子の理想は高く、より沁みるものを、より迫るものを、より面白いものを求めて稽古しています。
 この芝居が劇場で上演されるのももう間近です。身内ながらぞくぞくしてきます。
 みなさま、どうぞ劇場まで足をお運びください。

洋服

 本谷有希子は公演の度に、いらなくなった私服を私にくれます。今日もスカートやパンツを持って来てくれました。とってもかわいい服だったので久々にキャピキャピした気分になったのですが、そんな私に本谷有希子が浴びせた言葉は、
 「乞食みたいな気分にならない?」
でした。
 この人には油断してはいけないな、と改めて思いました。

電話

 稽古後、本谷有希子と私は一緒にバス停まで行きました。皆とは方向が違うため、私たちは二人きりです。バス待ちで手持ち無沙汰になった本谷有希子はおもむろに電話を掛け始めました。聞き耳をたてるつもりはなかったのですが、電話をする本谷有希子の声が自然と耳に入ってきたのです。どうやら多門さんにダメだしをしているようです。
 「あ、もしもし、本谷ですけど。おつかれ様です。さっき伝え忘れちゃったんだけど、今言っても大丈夫ですか?……えっとやっぱ、トム・ハンクスは修学旅行に行かなくていいです。はい。じゃ、そういうことで。」
 くしくもバス停は大学病院の目の前。本谷有希子、退院した矢先に発症したおかしな人みたいになってました。